高杉良著「青年社長」は渡邉美樹をモデルにした実名小説。脚色はあるにせよ、起業とは、仕事とは、仲間とは、家族とは、いろいろ考えさせられる小説。
「夢に日付を付ける」っていう言葉、聞いたことがあると思うが、渡邉の言葉。
小学校時代に母を亡くし、父の会社が倒産、卒業文集に社長になると誓う。社長になりたい起業家、三木谷浩史はインターネットショッピングとレストランチェーンが同等の選択肢にあって、何が儲かるかという銀行屋の発想だったし、サイバーエージェントの藤田晋も何で起業するか白紙だった。
それに対して、渡邉は学生時代に恵まれない子供たちの為のイベントを成功させ、国内外を旅行する中で食事こそが仲間や家族を結ぶ最も楽しいものだと外食産業を志向する。設立準備のために経理事務所で会計を学び、佐川急便のセールスドライバーとして開業資金を捻出する。
出会いと運が飛躍のきっかけとなる。創業を先導したのは居酒屋会のカリスマ、つぼ八の創業者石井誠二。石井のスカウトによりつぼ八のフランチャイズ1号店を皮切りに、地歩を固めた。石井はイトマンの資本論理でつぼ八を追われ、現在は八百八町を展開、ワタミの監査役に名を連ねている。
例えば、調布で飲もうと言ったとき、気らく家、気らく亭、土風炉、えん屋、新撰組、きちんと、淡菜房、東方見聞録、つぼ八、笑笑、ってなかなか和民は選択肢には上がってこないが、経営者は面白い。最近は有機農業や介護ビジネスを展開、学生時代から1本芯が通っていると思うのだ。めまぐるしくトレンドが激変する外食産業、失敗した時の撤収も鮮やか。
FC展開するプロトタイプづくりも一度はやってみたいものだ。